犬を飼ったことが無いからこそ、断ち切れなかった思い。生涯の仕事として、未経験からトリマーを目指す一人の女性。
笠井さんは、学生のとき生き物係をするぐらい、小さい頃から動物が好きでした。時々、おじいさんやいとこが飼っているわんちゃんと遊んでいましたが、自分のお家ではわんちゃんを飼えませんでした。
本当に飼いたかったので、何度も頼んだり、お母さんをペットショップに連れていって説得しましたが、飼えませんでした。実は、笠井さんのご家族が動物アレルギーだったのです。
どんなに切望しても、叶わない願いだったので、笠井さんにとって、動物(特に犬)は、特別な存在になっていきました。
会社員からトリマーを目指す
高校卒業後、専門学校に通いましたが、希望していた職業には就けませんでした。その後の道として、トリマーも考えました。
お家で犬は飼えないけれど、職業にすれば、毎日犬に会えると思ったからです。
通っていた専門学校にトリマーを目指すコースもありましたが、授業料は決して安くありませんでした。もう一度その金額を払ってまでなるべきなのか葛藤が生まれましたが、やはりトリマーはあきらめ、正社員として別の仕事に就こうと決めたそうです。
正社員として働き始めて2年半が経った時、職場で勤務内容などの改定がありました。お金も貯まったので、それを機にトリマーを目指すことを決めました。
ペットショップは、将来性が無いように感じ、ずっとそこで働く自信がありませんでした。また動物看護士は、犬を飼ったことがないので、働くイメージがあまり湧きませんでした。自分が働いている姿が一番想像できたので、トリマーを目指すことを決めました。
なぜケンネルスクールを選んだか
社会人として働いた経験があった笠井さんが、トリミングスクールを選ぶ上で大切にしたことは、ライセンスの取得期間と、先生と生徒との距離感でした。
専門学校だと、卒業するのに2年~4年かかることもありますが、ケンネルスクールでは、最短6カ月で卒業することが可能です。
またケンネルスクールでは、先生一人が教えるのではなく、複数の先生でいろんな視点から生徒さんに教えます。実技中に質問も随時受け付けながら、教えていきます。笠井さんは、近い距離で先生に教えてもらえるところに魅力を感じたそうです。
学校に入ってみて、楽しいことや嬉しかったことは何でしょうか?
動物が大好きな笠井さんは、常に犬に触れ合えるのが、とにかく嬉しいそうです。また最初は出来ないことが、自分の思い通りに行ったときが嬉しく、スクールに行くのが憂鬱になったことはありません。実は笠井さん、千葉から片道1時間半かけて通ってくださっています。
スクールでは、入学してすぐ一人一頭を担当していただきます。笠井さんは、トリミングには最初から決まった正解がなく、自分の担当するわんちゃんそれぞれに向き合って、その子にとってのベストを探すことにやりがいを感じているそうです。
一度飼い主さんがお迎えに来た時に、「可愛くなったね~」と喜んでいる姿を見たのが、本当に嬉しかったそうです。
逆にスクールに入ってみて、大変なことや難しいことはなんでしょうか?
笠井さんは、噛んだり暴れたりするのは、わんちゃんが悪いわけではないと考えています。自分の対応が悪いので、どうすればいいか探してやっていくしかない、犬にあたってもしょうがない、自分が成長していくしかないと感じているそうです。
ただ笠井さんは、今まで犬を飼った経験がないため、覚える事が多いので、講義で頭がついていかず、大変に感じています。
それでも講義のときは楽しそうに、頑張って授業を受けてくれています。笠井さんは集中制ビジネス科ですので、トレーニングの授業もあります。その時は、わんちゃんに優しく向き合って、よく観察しているので、いつもとても上手にトレーニングできています。自信を持ってくださいね。
犬を飼ったことがなくてもトリマーになれる
まだ入って4ヶ月ほどの笠井さんですが、将来について聞いてみました。将来は、千葉で自分のお店を出したいと照れながら話してくれました。
まずは、できれば正社員でトリマーとして経験を積み、40代くらいになって私生活が落ち着いたら、開業したいそうです。
今は、スクールまでの交通費をまかなうため、授業が終わった後、スクールの近くでアルバイトしながら通っています。笠井さんは、堅実で頑張り屋さんで、本当に感心してしまいます。
犬に対しては、とても優しく、犬のせいにせず、よく犬を見ている笠井さん。「いたずらさえ可愛く見えるので、もし犬を飼ったら、なんでも許してしまって、甘やかしすぎてしまうかも。」と笑っていた笠井さんですが、その優しさと誠実さがあれば、将来きっと素敵なトリマーさんになれると思います。
犬を飼ったことが無いからこその強みを生かして、今後も笠井さんらしく頑張ってください。